フクロモモンガの食事について

フクロモモンガは飼育歴がまだ浅い動物です。

ですので食事バランスは犬や猫のように研究されておらず、未解明な部分も多いです。

昔は飼育下での平均寿命が10-12年と言われていましたが、現在では12-15年、最長で18才まで生きたという報告もあるそうです。

これは10年前の飼育方法から今まで少しずつ研究されてきた結果だと言えます。

 

少しずつ研究が進んでいますが、食事についてはネットで探しても飼育書にも詳しい情報が出てきません。

これには私もフェンちゃんを飼育し始めた頃にとても悩まされました。

ペレットだけでいいのか、野菜なども与えたほうがいいのか、ペーストフードを作ったほうがいいのか、飼い主さんによってご飯のあげかたは様々です。

 

私は今、海外で研究された食事バランスを参考にフェンちゃんにご飯をあげています。

なぜ海外なのかというと、海外では日本よりも長くフクロモモンガの飼育が行われており飼育経験も豊富だからです。

日本よりも情報も多く、栄養バランスに対する理解が深い飼育者が多いのでなぜこれが良いのか、悪いのかをきちんと栄養バランスを考慮した上で説明してくれます。

海外では、市販のペレットとそのペレットに合わせて他の食材や栄養剤を混ぜてペーストにして与えるのが主流のようです。(気になる方は”sugarglider diet”で検索をかけてみてください)

 

どんな動物でも完璧な食事バランスというものを測ることはできません。

できたとしてもその通りに寸分違わず与えることは不可能です。

ですので、私はこれだけは守るというルールを作ってご飯をあげています。

 

細かい説明をするととても長くなるので先に気をつけていることとあげているご飯をまとめておきます。

フェンちゃんの食事はペレットご飯+副菜(果物や野菜)+おやつの3種類で構成しています。食べないものから3回に分けて順番に与え、おやつは遊んでいる時にあげています。

<ミルクと栄養剤>18:00頃

ミルクは少なめ(味付け程度)栄養剤はネクターパウダーを使用。

日中寝ていて水分を取らないため水分補給と食事で足りない分の栄養素の補給のためにあげています。

慣れてもらうために離乳後もスポイトで手からあげていましたが、これを今でも継続しています。

 

<ペレット>20:00頃(起きてしばらく遊んだ後)

市販のペレット2−3種にクラッシュタイプのペレットとメープルシロップ、オートミールを混ぜてお湯でふやかしたもの。

ペレットは嗜好性の高いものを避けてバランスのいいものを選ぶようにしています。

タンパク質量が20%-40%のもの。(植物性のタンパク質しか含んでいないものは避ける)

カルシウム:リン=1.5:1か2:1くらいのもの。

裏の品質表示で確認します。

摂取する食材のバリエーションを増やすため、緊急時などに備えてペレットは食事と合わせて必ず食べてもらうようにしています。

バランスのいいペレットは食いつきがあまりよくありませんが、すりおろしたりんごジュースやハチミツなどと混ぜて調整すると食べてくれるようになります。ペレットも1種類だと飽きたり栄養バランスが偏るので何種類か常備します。

 

<副菜>21:00頃(寝る前にゲージに入れます)

(写真のメニューは、ささみ・卵・いりこ・いちご・ブドウ・ブルーベリー・パプリカ・きぬさや・豆腐・じゃがいも・枝豆・人参です。撮影用に種類を増やしましたがこのくらいの種類を1週間でローテーションしています)

あげるバランスとしてはタンパク質:炭水化物=30-40%:60-70%くらい。カルシウム:リン=1.5:1か2:1くらいのもの(ペレットと同じです)脂質は10%くらいになるように控えます。

動物性タンパクは、固茹での卵・茹でたささみ・茹でたタラなど

植物性タンパクは、枝豆(塩の入っていないもの)・豆腐など

炭水化物は、栄養価の高いハチミツやメープルシロップ、オートミール(ペレットに混ぜています)果物類など

カルシウムは、いりこ・ヨーグルト・豆類にも多く含まれます。パパイヤ・ベリー類の果物にも多く含まれています。雑食性の生き物なのでカルシウムは不足しがちなので注意しています。海外ではカルシウム剤をフードに混ぜて与えていますが、あげすぎると関節が固まってしまうので分量に気をはつけましょう。

リンは、動物性タンパクに多く含まれているのであげすぎに注意してください。カルシウムの定着を妨げるのでバランスを保つようにします。

また、カルシウムの定着にはビタミンDが必須になります。いりこなどの乾物、鶏卵などに含まれています。

1日に食べる品数は全部で10種類くらいになるように、1つ1つは小さめに切って同じものばかり食べないようにしています。

海外では野菜・果物を栄養価別で分けて群を作り、1群から何品、2群からは何品というように栄養バランスを考えやすいようにしているものもあります。

バランスよく食べてもらえるようにペースト状にするのも手ですが、フェンちゃんは食材の食感を楽しんでいるようなので私はペーストにはしていません。

残さないように分量や調理法を変えて与えています。

 

<おやつ>朝の遊び時間4:00頃

無塩くるみ・減塩チーズ・トウモロコシのいずれか+ヨーグルト(毎朝)

環境エンリッチメントのご褒美です。嗜好性が高く美味しいものは体に良くないものが多いですが、おやつとして少しだけあげています。

ナッツ類は油分が多いので与えすぎによる肥満に注意します。

チーズは下痢をする個体には与えないようにします。塩分が多いので控えたほうがいいですが大好物なので、減塩のものを少しだけあげています。

トウモロコシはカロリーが高く、リンを多く含むのであげすぎに注意します。

ペット用おやつは品質が悪く、栄養価も低いのであげていません。

 

・気をつけなくてはいけない食材

中毒症状を引き起こすもの(絶対にあげない)…ニンニク・玉ねぎ・その他ネギ類・ルバーブ・果物の種(必ず取り除いて与えます)

ラクトースを含むもの(下痢の原因になります)…牛乳

いいかどうかわからないので控えたほうがいいもの…アボガド・レタス・ブドウ(ブドウは特にアレルギーもないようなのでたまにあげています)

油分が多く控えたほうがいいもの…ナッツ類・牛肉・豚肉

シュウ酸を含むもの(カルシウムの定着を阻害します)…洋梨・ビーツ・イチジク・ほうれん草

野菜についている土には寄生虫がいることもあるのでしっかり洗い流すか、皮をむいて与えます。表面に農薬がついている場合も考慮して基本的に皮は剥いて与えるようにします。

 

・カロリーについて

カロリーは特に気にしていません、お皿にこのくらいという目安であげています。野生では体重の15-20%くらいのようです。(17.5MJ/kgという記載もありました)

体重の増減がなければ継続、多いようであれば減らします。

副菜を全て食べてペレットが少し残っているくらいがちょうどいいようです。運動量にもよりますので個体ごとに調整します。

 

食事は食べ終わったらなるべく早くお皿を片付けるようにします。生の果物や乳製品は傷みやすいので放置しないようにしてください。

昼間にお腹が空いた時のため、ペレットを置いておくと良いという記載もありましたが、常に食事が取れる状況を作ってしまうと肥満になりやすいので私は置いていません。

食べない食材、飽きてしまった食材は調理法や切り方を変える、生であげていたものは茹でてあげると食べてくれたりします。すりおろして他の食材と組み合わせたり、鰹節と一緒に茹でたり色々な組み合わせを試してみてください。

食事については私もまだ手探りな部分もあり、フェンちゃんがこのバランスで長生きしてくれない限りこれでいいとは言い切れません。

最近はカルシウム量が少ないことが心配だったので、カルシウムの保有量を表にして冷蔵庫に貼っています。

どこまで考えて食事を与えるかは飼い主さんの判断になります。

ペレットと栄養剤に少しのおやつで育てている方もいますがこれも間違いではなく、バランスが良ければこちらのが長生きするかもしれません。

その他、補足情報を下記に記載しますのでよかったら目を通してください。

 

 

<補足> 

・タンパク質

全体の食事量の20%〜50%くらいがタンパク質と言われていますが20%だと少ないという記述もあるので30%くらいが目安かと思います。

発情シーズン(春先)や換毛期にはタンパク質量を上げると毛の生え変わりが綺麗に行えます。発情シーズンではない冬場はあまり必要がないそうです。

タンパク質量を増やすと体臭が濃くなります。あまりに臭い場合は食事におけるタンパク質量を考え直す必要があるという記述もありました。(フェレットのような臭いがするそうです)だからと言って減らしすぎると栄養不足で体毛がハゲてしまったりするのでバランスを保つ必要があります。

タンパク質はリンを多く含みますが雑食性の生き物なので必須になります。

 

・脂質

脂質は全体の11%程度、肉類や虫からタンパク質を取ってもらうとなると足りなすぎるということはありません。

どちらかというと多すぎる場合が多いので、脂質の多い食材はなるべく避けるようにします。

脂質は取りすぎると肥満の原因になります。肥満はあらゆる病気の原因に、内臓疾患が出てしまえば獣医師でも治せる可能性は低いです。

内臓疾患は治療方法として投薬をするかと思いますが、治すものではなく抑えるものである可能性が高いです。

また、一度太らせると運動しなくなるので体重を減らすために食事量を減らさなくてはいけません。そうすると摂取できる栄養も一緒に減ってしまいます。

ダイエット中で毛が薄くなっている個体を見かけます。本人のためにも太らせないように注意してください。

 

・炭水化物

炭水化物は60〜70%くらいが目安です。

野生のフクロモモンガは木の蜜などから炭水化物を摂取します。

木の蜜にはミネラルが豊富に含まれていますが、これを人口の甘味料で補ってしまうと栄養バランスが崩れてしまいます。

飼育下のフクロモモンガは運動量も少ないため、限られたカロリーの中でなるべくバランスの良い食事をさせなくてはいけません。

海外ではハチミツ、アカシアの蜜、ハチの花粉やオートミールなどを栄養素の多い食材をペーストフードに混ぜて炭水化物をとらせます。

米・小麦粉由来のものは喜んで食べますが栄養価が低く、歯にくっついて虫歯の原因にもなりますので控えたほうがいいです。

 

・昆虫食について

野生のフクロモモンガはあらゆる種類の虫を食べています。

飼育下であげられるものは種類が限られているため同じ種類のものをたくさんあたえるとバランスが悪く、リンを多く含むのでカルシウムとのバランスを考えなくてはいけません。

昆虫を育てるための食材は品質がいいものではないと思いますし、昆虫に必ず与えなくてはいけない栄養が含まれているわけでもないのでフェンちゃんにはあげていません。

外で捕まえてきたものは寄生虫や農薬などがついている可能性があるので絶対に与えてはいけません。

また、脂質も多く含むのであげすぎは肥満の原因にもなります。海外では食事ではなくおやつとして少量与えるそうです。

コオロギの足で腸閉塞になったという例もあるので注意してください。

 

・塩分について

塩分を含む食材は原則与えないようにします。

いりこやしらすは塩の記載がなくても再度茹でて塩抜きします。海の食材には塩の記載がなくても海水が含まれていますので気をつけてください。

食べてみて少しでも塩気を感じたら、動物にとってはかなりの量の塩分になります。

 

・ラクトース不耐性について

フクロモモンガはラクトースに対する耐性が低く、乳糖を含む食材を分解できないため牛乳などをあげると下痢をします。

乳製品は乳糖が分解され、カルシウムを多く含むヨーグルトが推奨されています

チーズは下痢をする場合は与えないようにします

 

・食事のあげ方について

好きなものから与えると好きなものしか食べなくなります。

あまり好きではないものでも空腹時には食べてくれるので嗜好性の低いものから与えていきます。

好きな食材はおやつ代わりに与えます。

慣れて欲しいのであればこれらの食材は寄ってきたらあげる、寄ってこない場合でも顔の真ん前に出すのではなく少し離れて相手がおやつを確認できる位置で来るのを待つようにします。

家の中でじっとしていても好きなものがもらえる環境であれば、出てこないという選択肢をとるようになります。

また、フクロモモンガひっくり返しておやつをあげている方をよく見かけますが、喉に詰まらせる可能性が高いのでやめたほうがいいと思います。

焦って食べるので咀嚼する回数も減り、普段なら噛み砕くものも飲み込むので体にはよくないです。

 

食事については私もまだまだ悩んでいる部分もあるので情報を追加・更新して行こうと思っています。

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